2011-01-30

石徹白の農村カフェレストラン


戦略コンサルティングファームBooz&Companyのプロジェクトメンバー3人で、大雪の真っ只中に岐阜県郡上市の石徹白(いとしろ)に足を運んだ。2009年度に東京オフィスとしては初の試みとなるプロボノ・プロジェクト(=社会貢献プロジェクト)で行った『山村地域再生プロジェクト』の続編である。石徹白で地域づくり協議会のみなさんと再会するとともに、立ち上げ期にご一緒させて頂いて今や集落で大注目のカフェレストランを経営する“くくりひめ”のみなさんとのアップデート機会をもたせて頂いた。日曜は終日の大雪で外は一面銀世界という状況にも関わらず、くくりひめのカフェは老若男女が溢れる大盛況だった。 

我々はランチタイムからカフェに入って特製ランチとスイーツを頂いたのだが、とにかく様々な進化に驚いた。寒暖の差が甘味を引き立てることで名高い石徹白産の野菜をふんだんに取り入れた特製ランチは、都会住まいの我々にとっては感動を覚える仕上がりと言える。しかも、今回は試作品として「ベア・シチュー」と「ししチャン」を頂いた。勿論、石徹白の熊と猪である。熊とシチューの絶妙な組み合わせ、猪と郡上味噌の見事な絡み合いには舌を巻いた。さらに、レジェンド入りの仕上がりになっていたのは「かぼちゃぜんざい」である。程よい甘味のパンプキンスープに薄っすら焼かれた3つの餅が我々の食後を至福の時間へといざなう。そこに石徹白の区長さんが銘酒『一本義』を携えて登場し、メンバーは美酒と共に昇天を迎えた。

極上の珈琲で意識を取り戻すと、カフェタイムの後に、カフェレストランを経営する“くくりひめ”のみなさんとアップデートの話し合いが行われた。今や集落内でくくりひめのカフェは評判となっており、「ここに来るとみんなに会える!」「話ができて楽しい」といった嬉しい声が頻発している。そして、来たるべき2011年度に向けて、新たなチャレンジに向かいたいとメンバーのみなさんで試行錯誤しながら前進しているのである。くくりひめは、“みんなで、楽しく、できることから始める”ことをモットーに、2009年末に立ち上がってから僅か1年で、0のつく日の開催(月3回のオープン)と行事に合わせた開催の両立にまで漕ぎ着けた。どんどんバージョンアップしていくプロセスを応援させて頂くのは、我々としても本当に嬉しく、元気を頂いている。


そう言えば、我々がくくりひめのみなさんを応援させて頂くことになったご縁を紐解くと実に感慨深い。元々は2009年にBooz&Companyでプロボノ・プロジェクトを立ち上げることになったのが出発点で、戦略コンサルタントが練り上げた50案件近くのプロポーザルの中からファーム内コンペで最多得票数を獲得した『山村地域再生プロジェクト』が第一号案件となった。日本各地の山村で人口減少集落が急増するなかで、「地域が自活して定住人口の増加を実現するための汎用的な解決アプローチを策定し、これを実際のフィールドにおける課題解決に活用し効果を検証した上で、全国的な山村地域再生に向けた提言を行う」というのが、山村地域再生プロジェクトの目的である。ここに言うフィールドになったのが、岐阜県の石徹白というわけである。

そして、Boozが地域のみなさんとface-to-faceの関係で地域再生支援をさせて頂くことができたのは、Boozアルムナイで石徹白の地域づくりに尽力されている平野彰秀さんの存在が極めて大きい。我々はプロジェクト期間中に全国各地の事例調査・分析で仮説を構築した後は石徹白に完全常駐したのだが、平野さんと一緒に地域の様々な方々に会ってインタビューしながら、石徹白の再生ロードマップを描いていった。そのプロセスについては、去年まとめさせて頂いた記事の通りである。エッセンスを簡潔に表現すると、「定住人口の増加には、“地域に住みたい×地域に住める”の双方が必要。前者には地域魅力の訴求、後者には職+住居+インフラが必要。これを実現するのが、“地域ビジネスが地域ファンを作り、地域ファンが地域ビジネスを支える”という好循環を作る地域自活型ビジネスである」。

こうしてロードマップを描くことに成功したのだが、結局、物事が動き出さなければ意味がない。全国の成功事例を分析してみると、うまくいっているところは、“みんなで、楽しく、できることから始めている”。できるだけオープンな形で、一人一人がワクワクしながら、小さな成功体験を積み重ねたところがブレイクスルーしているのである。そこで、地域のみなさんが主体的にやりたいと思っているテーマを探していたとき、主婦の方々の中に農村カフェレストランを立ち上げたいという想いがあることをキャッチした。そこから幾度にわたる茶話会を経て結成されたのが、主婦のみなさんを中心メンバーとする“くくりひめ”。一人一人のワクワク感が形となって2009年末にカフェレストランが立ち上がり、僅か1年して集落に定着しつつある。次第に地域行事等との連携が進み、今や石徹白としての地域自活型ビジネスが回り始めている兆しにワクワクせずにはいられない!

【参考】
石徹白ニュース: 石徹白のみなさんによる地域ニュース
・Booz&Company『山村地域再生プロジェクト』: プロボノ・プロジェクトの簡易レポート
・関連Blog記事 [2010/1/26] [2010/4/25]